2008-08-10

ワークショップ 機械の素

Handicraft workshop "Machine Elements"
ワークショップ「機械の素」に当選したので、ICCに行ってみた。
まさかと思ったがすごい倍率で当選した。


以下非常に長くなると思う。

1. ワークショップ「機械の素」

1.1. ワークショップ概要

前のエントリでも紹介したけど、ICCの夏のキッズプログラムの一環で、
芸大大学院映像学科の佐藤雅彦教授+桐山孝司教授が指導する
中高大生向けの機械の仕組みを知る・作る・応用するワークショップ。
理工学社「メカニズムの事典」(改・機械の素)を元に、
歯車とかカムとかボルトとかの機構を実際に工作してみるというもの。
工作をしていく中で、その中で数理が隠されているというのを確認し、
その美しさを歎美する。って感じかな?


(「メカニズムの事典」)

ワークショップは4人×4チーム(ほぼ大学生)にファシリテーター(修士1年)各2人ずつ
+中学生4人に雅彦先生・桐山先生で行われました。

1.2. ワークショップのコンテンツ

まず先生から「機械の素」とはっていう話をし、
それから班ごとに基本の機構を2つ、
後半はそれを応用した工作を1つ作りました。

前半後半ごとに各班のプレゼンテーションがあり、
工作の動きの説明・インスタントレーション・
動きに隠された原理を説明することとなります。

全体が終了した後は、先生による講評がありました。
まぁ講評の時間がなくても
各班ごとに先生は短い感想を述べてらっしゃいました。

1.3. 作品の説明

うちの班では、「ハートカム」・「早戻り機構」
そして「カムを使った作図器」を作成しました。
ファシリテーターの方が非常に優秀で、
素晴らしい作品ができました。

実際の作品「ハートカム」(右が下)


ハートカムの説明を補足すると、
下のカムが回転することで、上の棒が一定速度で上下する機構。
このカムの曲線は「アルキメデス曲線」で描かれている。
アルキメデス曲線は
r=aθで表せるらせん状の曲線で、
角度が大きくなるほど孤も大きくなる曲線。

このカムのポイントは、
・棒を上下させるにはアルキメデス曲線のハートの形が必要であること
(カムが丸い形だと棒は上下しない)
・線対称になるになる半分の中では同じ半径になるところはない
・この動画でいうと右が下でないと、このカムは働かない。
なぜなら重力という圧力がないと棒がカムの動きに沿ってくれないから。
・初期のストップウォッチはこのカムが一周して一つの所に戻ることを利用して、
作られていたらしい。

応用編に関しては省略。
カムを使って、アップルマーク・山手線を作図する機械を作った。

素晴らしい作品だったし、
アイデアから試作まで作ったファシリテーターの方が
本当に試行錯誤して材料や作成方法を昇華していき、
私たちを指導してくれたんだろうってことがわかって尊敬した。
佐藤先生も「素晴らしいですね」と感想を漏らすほど。
(これに関してはもちろん数理の美しさに対して含む)

2. 感想

2.1. interestingとfunnyの違い

雅彦先生は昨今のバラエティなど
文脈的な面白さ」が蔓延している社会に
本当に憤っていらして、
もっとfunnyじゃなくて
(知のある)interestingを
広めなきゃだめなんだと仰っていた。
その上で
「今日やったことをBlogとかで楽しかった~っていうことで終わらせるんじゃだめなんです。(若干Blogというメディアの批判もしてた)
今日やったこと、体で体感したことというのは一生忘れないと思うからそれを広めてほしいんです。」
だからBlogでこのワークショップの報告をするのはどうなのかなぁと思って今日に至った。
私の稚拙な文章では、
機械の面白さは全く持って伝わらないだろうから
なおさらです。

だけど、中学生班の作品で、
先生が指導したものが
3(a+4)=3a+12を表せる機構
というのを発表した時は、

中学校で習った数学があらまぁこんなふうに!!!!という感じで感動した。

こういうアハ体験みたいに「数学や物理の美しさ」への驚嘆・耽美を、
たしかにもっと広めたいし、自分も体感したいと思った。

だから恥ずかしながらまたブログに書いた。

2.2. 自分の知ったかぶりなところ

先に言ったように、
プレゼンをしたんだけど、
ハートカムの説明では
自分がアルキメデス曲線をわかってないくせに
適当に言葉をにごして発表した。

発表が終わって先生が静かに鋭く言った。

「ファシリテーター、アルキメデス曲線について補足はありませんか」

しまったと思った。
相手はプロなのに!!!
ずーーーーっと会いたいと思ってた人にすごい失礼なことをしたと思って恥ずかしくなった。

ファシリテーターの方は私たちにしてくれた説明をもう一度全体にして下さった。

恥ずかしいのと、
そして高校生の時に入りたかった雅彦先生のゼミは、
プレゼンの度にあの鋭い先生のまなざしを受けていると思うと、
自分のいる世界と全く違うと感じた。

でもそういうプレッシャーがなければ、
いい作品やひらめきっていうのはできないのだろうな。
そういう意味では、その場しのごうとした自分が本当に恥ずかしいし、
社会人としてもこれからやっていけないことを痛感。

2.3.  発想を実現させること

これはなんていうことない感想。
元々「メカニズムの事典」を読んでいて、
機構を想像するのは楽しかったんだけど
実際に工作してみるっていうのは非常に大事なことなんだと思う。

というのも、うちの工作がうまくいったのは
ファシリテーターが試行錯誤して、
どの材料を使えばいいかとか完璧にしてくれたからだ。
(他の班はアイデアはともかく実演ではうまくいかないところがあった)

たとえばさっきのハートカムは
コロ(カムに沿って回転する車)は引き戸とかドアの下についている車を
ハンズで探してきて見つけたらしい。
他にもそういう「発見」がいっぱいあって、
実際に機械の動きが完成される。

最初に先生が話してくれたように
体で体感して覚えたことは忘れない。
だから数学や物理だってこういう風に目にみえる形で体験しなきゃだめなんだ。

3. 感想全体

そんなわけで楽しかったし、大きく学ぶところはあったけれど
自分のだめなところを再認させられ
すごく落ち込みました。

4. 最後に 

終わってからもしぶとく残っていたら、
雅彦先生とお話しすることができた。

機構がとても面白かったです、という話をしたら
さっきの鋭い感じとは違う、とっても優しい声で
「その中に数理があるっていうのがいいですよね」
と仰った。

その時「毎月新聞」の中で、
雅彦先生の高校の先生で
厳格な数学の先生が一度だけ
黒板に書かれた生徒の解法を見て、
「美しいですね」と感嘆したというエピソードを思い出した。

そういう何か一定に現れる美というものを
先生を見ていてまたわかるような気がした。

本当にわかるためには先ほど言ったように
自分で数式を理解しながら実践してみないと感動できないし、
これで終わってはいけない。

いかに自分が文脈的に生きてるか思い知ったワークショップだった。
また芸大にも遊びに来てください。
という言葉になんか救われた。

全然メカニズムの面白さが表現できなかったけど、
こういうことをまたトライする機会を作ったり、
自分でやってみようと思う。


★★★★★
- - - - -
ワークショップ機械の素
2008年8月10日
NTTインターコミュニケーションセンター
講師 佐藤雅彦・桐山孝司
後援 東京芸術大学大学院映像研究学科

2 件のコメント:

  1. お疲れ様でした。
    会いましょう。連絡します。

    返信削除
  2. むまさん!!!

    なんか大人の女な感じがコメントから漂います!!
    会いたいですー。

    返信削除