夜と霧 新版 池田 香代子 みすず書房 2002-11-06 売り上げランキング : 469 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
尊敬する先輩が「夜と霧」をおすすめしていたので、もう一度読んでみた。
大学1年の時に読んだのがなつかしい。
たしか高校の時の倫理の授業で現代思想としてシスターが授業で取り上げた。
シスターの授業が大好き(私はキリスト教信者ではないですが)だったから、
彼女が読むべきといった本は読破したくなったことがきっかけだった。
「戦場のピアニスト」に比べればまだ読める。
戦場のピアニストが戦争の悲惨さにフォーカスした作品なら、
この本は著者の精神科医という立場からの
人間の極限状態における心理状態はどうなるかという実験検証だからなのではないかと思う。
前者の作品は、どうも見終わった後に、
「やっぱり才能のある人は、サバイヴする運命なんだね…!」という感想を持ってしまうのだけど、
この本はもっと人間全部に当てはまる、公式を導き出した。
それは
"もしあなたが十分に大きな『なぜ』を持っていれば、『どのように』というプロセスはどんなに難しいものであっても耐えることができる"という公式だ。
つまり、生き残って○○をするという強烈な使命感を自分に課すことができれば、
それがいかに困難でも生き抜くことができるということだ。
これは希望というのとは違う。
希望はもうすぐ救世軍が救ってくれるというたぐいの楽観であり、
それが裏切られた時の精神状態はふりこが逆に振られるように
安定しなくなる。
運命論とは全く逆の、自分の人生は自分で確立するというメッセージを強く感じた
著者の場合の使命は、
精神科医としてこの極限状態の人間の心理について学術したいというものだった。
結果ヴィクトール・フランクルは生き残り、使命を果たした。
そのほかにも戦争を忠実にドライに考察していて
読みやすいと思う。
★★★★★
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「夜と霧」
ヴィクトール・E・フランクル
池田香代子訳
みすず書房
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