2008-04-26

計算の庭(mixiコピ)

また佐藤雅彦と桐山孝司のトークショーのために

初台のICC(NTT東の文化施設)へ行って来ました。
この方々は芸大でメディアアートを教えている先生で、
「計算の森」という作品出展に際してのトークショーでした。
んもうすんごい面白かった。

「計算の森(写真)」は-1とか98とか書かれたカードを持って、
X3とか-4とかいうゲートを実際に参加者が通過することによって、
身体で概念操作を行うのです。
で最終的には73にしてゴールしなければならない、というルール。
書くと単純なものですが、目の前にするとすんごいワクワクします。
森美術館ですでに体感済みだったけどまた招かれたのね。

①セレンディピティ
元々雅彦先生は
「頭の中で考えている流れ(概念操作)を
体や物にも対応させること(マッピング)」に挑んでいて、
それが「こうま算」というビデオワークで、
計算の過程を原始的におもちゃの数で表す、いかにもNHK教育的な作品でした。
でも概念操作の表現は視覚化にとどまっていて、
それが雅彦先生の本心では不満だった。
そこでRFIDを使えばいいんじゃないかと桐山先生が提案。
RFIDはSuicaとかで使われてるような情報のやりとりを
無線で出来るタグのシステムのこと。

桐山先生はRFIDを使ったおもちゃとかそういう小さな作品を想定していたんだけど、
雅彦先生はこれ持って体感型の作品にすればいいという提案を受けたと勘違い。
その時点で上記の「計算の庭」のイメージがほぼ完成形で浮かんでいたそうです。
これぞ概念操作の身体化。

書くとなんてことないことだけど、本人にとっては
相当なセレンディピティを感じた出来事だったそうで、
凡人のあたしからしたらそういう必然のようなひらめきは来る人には来るのね…と思った。

でもそういうときの何かが「カチッ」っていう気持ち良さはわかる。
これって訓練すればどうにかセレンディピティに会えるようになるの?

②目標勾配
計算の庭の実験の中で、ゲートから次のゲートまでの時間のグラフを見た。
スタート直後は頭の中で計算するから次のゲートに行くまで時間がかかって、
最後の数ステップは計算式が浮かんでいるのでゲート間の時間は短い。
これを実際に体験している人の映像と対応させて見ると面白くて、
「うーんうーん」(立ち止まり)→「あッ電球ぴかぴか(新しい)」→「早くゴールゴール!」(小走り)

この「あっ」っていうのが声が聞こえるくらい解法がわかったときの表情というのは素晴らしい。
これを心理学では目標勾配というらしく、目標までの道が分かると人間は明るくなる。

これってすごい今周りの人々を見ていて観察できている気がする。
道が分かった人はほんと前会った時よりすっきりしていて、こっちも気持ちいいです。
そういう意味では、後輩のがもんもんとしてて、
解法を見つける手助けになれたらいいなと思います。
結局解法は自分で見つけないと気持ち良くないからね。
引き出して、最後の「あッ」を感じてほしいと思います。

なんか長く面白くなく書いちゃったな。次からは簡潔に。
とにかく行ってみてください。ひとりで行くのもデートで行くのもお勧めです。

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「オープン・スペース2008」
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